「ポスト安倍」の最有力、菅官房長官の落日

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菅官房長官が新元号「令和」を発表している

2019年11月20日。この日は明治以来の日本の憲政史上、記念碑的な日になるだろう。

安倍晋三(あべ しんぞう)首相の通算の首相在職日数が、戦前の桂太郎(かつら たろう)首相(2,886日)を抜いて、憲政史上最長となるからだ。

支持率が一向に伸びない野党の不甲斐なさに加えて、自民党内に安倍首相の座を脅かすような有力なライバルが見当たらないことが「安倍1強」とも呼ばれる異例の安倍長期政権体制をつくり出している。

朝日新聞をはじめとする左派メディアと野党が一体となって「安倍潰し」に出た一昨年来の森友・加計問題も不発に終わり、安倍政権の基盤は強固なままだ。

「ポスト安倍」を探る動きが水面下で本格化

菅義偉・官房長官と、岸田文雄・党政調会長
<画像引用元:時事通信>

向かうところ敵なし状態の安倍首相だが、自民党内では「ポスト安倍」を探る動きが水面下で本格化しつつある。

というのは、2019年11月現在、安倍首相の自民党総裁としての任期が2021年9月末までで、あと2年を切ったからだ。

自民党は党則で総裁任期を連続3期(1期3年、計9年)までと定めている。

安倍首相は現在3期目で、党のルールに従えば、21年9月をもって党総裁の座を退き、自動的に首相を退任することになる。

国民からの支持率が高く、全国規模の国政選挙で勝ちっ放し(衆参選挙6連勝)であっても、このままルールが変わらなければ、安倍政権は今から1年10カ月後の幕を閉じる。

自民党内ではそれを見越してポスト安倍の候補者を巡る駆け引きが始まっている。

ポスト安倍の有力候補は、現在2人

党内で現在、ポスト安倍の有力候補と目されているのは2人。

安倍首相の右腕として政権の舵取り役を担う菅義偉(すが よしひで)・官房長官と、岸田文雄(きしだ ふみお)・党政調会長(元外相)だ。

自民党総裁選で過去2回、安倍首相と争った石破茂(いしば しげる)・元幹事長は、ここ数年の「常軌を逸している」とも指摘される過激な安倍首相批判がたたり、党内の求心力が急低下。

事実上、ポスト安倍の圏外に去ったと目されている。

将来の首相候補といわれる小泉進次郎・環境相は、「ポエム発言」など就任後の一連の言動も響いている。

党内では「全くの力不足。将来はともかく、ポスト安倍など論外」(ベテラン議員)と突き放す声が大勢を占めている。

他にも手を挙げる議員はいるだろうが、現段階では菅氏と岸田氏に事実上絞られているのが実情だ。

ポスト安倍として、菅義偉・官房長官は一歩リードしていたが…?

特に菅氏が4月に官房長官として新元号「令和」を発表し、「令和おじさん」として知名度と存在感を強めた。

「令和おじさん」以降は一歩リードし、岸田氏に水をあけつつある、というのが、ついこの間までの永田町のほぼ一致した見方だった。

ところが、9月11日に行われた内閣改造(第4次安倍再改造内閣の発足)が、状況を一変させた。

優位を保っていた菅氏のポジションが、一気に暗転したのだ。

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「ポスト安倍」菅氏を直撃した、相次ぐ「閣僚辞任」

菅原一秀・衆院議員と、河井克行・衆院議員
<画像引用元:時事通信>

菅氏を直撃したのは、内閣改造でそれぞれ経済産業相、法相として初入閣した菅原一秀(すがわら いっしゅう)・衆院議員と、河井克行(かわい かつゆき)・衆院議員のスピード辞任。

両氏とも〝菅氏を囲む会〟を別々に主宰するなど、菅氏に極めて近い人物で、入閣に当たっては菅氏の強い推薦があったとささやかれている。

それがともに公職選挙法違反に絡む週刊誌のスキャンダル報道によって、就任後わずか1~2カ月で相次いで辞任。

党内では菅氏の責任を指摘する声が強く、直接の任命権者である安倍首相の責任もさることながら、今回の連続辞任は「完全に菅氏マター」「菅氏が〝身内〟を甘やかし、ろくに身体検査もせずにゴリ押ししたのが原因」などの声が上がっている。

大臣辞任した菅原一秀氏・河井克行氏と、菅義偉氏との関係性

菅原一秀氏は、党内の菅氏に近い議員を集めた勉強会「令和の会」を立ち上げ、菅氏を日ごろから「政治の師」と呼んでいる。

入閣についても「菅氏のご指導のたまもの」と公言し、その指導の温かさ、きめ細かさに謝意を表して「人生の師」とまで崇めている。

河井克行氏も、党内の若手・中堅議員を集めて「向日葵会」という菅氏を囲む会を主宰し、菅応援団を自任している。

河井氏の法相辞任は、妻である河井案里(かわい あんり)氏の今年7月の参院選(広島選挙区、改選定数2)での公選法違反疑惑が理由だ。

その参院選で、地元広島の猛反対を押し切って2人目の候補者として案里氏の擁立を主導したのが菅氏だった。

広島は菅氏のライバルの岸田氏の地元(衆院広島1区選出)であり、7月の参院選で案里氏出馬のあおりを受けて落選した現職議員は岸田氏の後見役だった。

菅氏と河井氏の師弟関係の深さをまざまざと知らしめる一事だ。

菅原・河井両氏の絶えない噂と、菅氏への風当たり

会見中の菅官房長官
<画像引用元:時事通信>

菅原、河井両氏とも永田町では知る人ぞ知る〝問題議員〟で、パワハラ、セクハラ、カネ、女性関係と様々な醜聞の噂が絶えない人物だ。

パワハラのせいなのか「秘書が頻繁に変わる事務所」としても有名で、今回のダブル辞任の引き金となった週刊誌報道も、内部告発の可能性が濃厚といわれる。

自民党本部の事情通の職員は「あの2人は入閣したら、身内から刺されて潰れるんじゃないかと思っていたが、案の定だった」と話している。

菅氏は菅原、河井両氏の素行に気が付かなかったのか。

気が付いてはいたが、子分かわいさのあまり、あるいは自分の藩屏に力を付けさせたいあまり、見て見ぬ振りをしていたのか。

党内にはこんな声があふれ、菅氏への風当たりは官房長官就任以来初めてと言っていいほど、強まっている。

菅氏へのさらなる追い打ち

さらに千葉県に甚大な被害をもたらした台風15号が、菅氏に追い打ちをかけた。

同県の森田健作(もりた けんさく)知事は、初動対応が遅れたとして批判を浴びている。

これも週刊誌報道によって、台風上陸の翌日に自宅が心配で公用車を使って見に帰ったとの疑惑が浮上し、批判に拍車が掛かっている。

この森田知事と昵懇の関係にあるのが菅氏。

森田知事が初当選直後に、当時の麻生太郎(あそう たろう)首相に掛け合って実現した東京湾アクアマリンの通行料金値下げに、影の立役者として全面協力したのが菅氏だった。

「菅のまわりにはろくな奴がいない」。ある自民党の閣僚経験者はこう吐き捨てた。

「ポスト安倍」を見据えた菅氏に向けられる厳しい目

厳しい目をする女性

菅氏による新元号発表は、「令和おじさん」として一世を風靡し、認知度向上につながった。

また、5月の大型連休明け後には、国内の危機管理を担当する官房長官としては極めて異例の米国訪問に出掛け、ペンス副大統領、ポンペイ国務長官ら米政府要人と相次いで会談した。

北朝鮮による日本人拉致問題の解決などを話し合うのが目的とされたが、それはあくまでも表向き。

実際は「ポスト安倍を見据えた米国デビュー、存在感アピール」が狙いだった。

「それからわずか半年。菅さんを取り巻く永田町の空気はすっかり変わってしまった。菅さんの目に映る永田町の光景も、自身の未来も、かなり色褪せたものになったのではないか。政界一寸先は闇とはよく言ったものだ」。

前出の自民党ベテラン議員は、進次郎氏だけでなく、菅氏にも厳しい目を向ける。

「ポスト安倍」候補はどうなる?菅氏の真の力量が試される

2019年11月現在から、安倍首相の自民党総裁選任期切れまで、あと1年10カ月。

どこまで失地回復できるか、菅氏の真の力量が試される。

(ジャーナリスト 風間 進)
 
 
将来の首相候補といわれる小泉進次郎・環境相の、評判悪化の一因となった「ポエム発言」など一連の言動については、こちらの記事に。
早くも「化けの皮」がはがれた小泉進次郎環境相

安倍首相の任期や、歴代総理大臣の在任期間ランキングをまとめた記事はこちら。
安倍晋三首相の任期は?記録更新もありうる?
歴代総理大臣の在任期間ランキング!最長と最短の首相を紹介

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