アベノミクスの成果とは?景気回復や成長戦略はどのように変化したか

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アベノミクス01 街を背景に右肩上がりのグラフが表示

安部政権がアベノミクスを打ち出してから、2019年で6年以上が過ぎました。

実際のところ、アベノミクスは成果を上げているのでしょうか。

バブル崩壊以後、冷え込んだ日本の景気は回復したのか、また成長戦略は進んでいるのかについてまとめました。

アベノミクスの成果を政府広報から確認する

アベノミクス02 首相官邸

アベノミクスとは、2012年12月から安倍政権が打ち出している経済政策の総称です。

アベノミクスの基本指針は、「3本の矢」と呼ばれています。

市場のお金を増やしてデフレを脱却する「大胆な金融政策」を1本目の矢、政府支出による「機動的な財政政策」を2本目の矢、規制緩和で自由なビジネスを実現する「民間投資を喚起する成長戦略」を3本目の矢とし、矢継ぎ早に経済成長に必要な政策を実施していきます。

アベノミクスの成果1.「大胆な金融政策」の結果は?

まず1本目の矢である「大胆な金融政策」の結果を見てみましょう。

アベノミクスが開始された2012年10月~12月期の名目GDP(国内総生産)は493.0兆円でしたが、2018年10~12月期の名目GDPは549.7兆円と約57兆円も増加しています。

物価上昇による貨幣価値の低下を考慮しても、実質37兆円もの経済成長が実現しました。

アベノミクス前アベノミクス後
名目GDP493.0兆円549.7兆円

<参考:政府オンライン「データで見るアベノミクス 2019年4月版」>

アベノミクスの成果2.「機動的な財政政策」の結果は?

2本目の矢である「機動的な財政政策」は、政府が支出を増大することを指しています。

実際に2012年度の国と地方の税収予算は78.7兆円であったところ、2019年度の国と地方の税収予算は107.0兆円にまで増えており、過去最高水準の政府支出が実施されたことが分かります。

アベノミクス前アベノミクス後
国と地方の税収予算78.7兆円107.0兆円

アベノミクスの成果3.「民間投資を喚起する成長戦略」の結果は?

3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」は、投資増大と輸出額増の効果をもたらしています。

2012年末の対内直接投資残高は19.2兆円でしたが、2017年末は28.6兆円と9兆円以上もの増加を見せました。

対内直接投資残高は4年連続で増加しており、民間投資の活発化が如実に表れています。

また、農林水産物・食品輸出額においても、2012年は4,497億円でしたが2018年は9,068億円と2倍以上に増えています。

農林水産物・食品輸出額の増加は6年連続過去最高値を記録しており、日本が世界市場に影響を与えているのは機械製品や自動車だけではないことが分かります。

アベノミクス前アベノミクス後
対内直接投資残高19.2兆円28.6兆円
農林水産物・食品輸出額4,497億円9,068億円

アベノミクスの経済成長にはGDPの計算方法変更も一因としてある

アベノミクス03 電卓で計算中のサラリーマン

数字だけをみると、確かにアベノミクスは素晴らしい経済効果を上げています。

特に国力を示す名目GDPに関しては短期間で57兆円もの増加を見せており、数字だけの情報では日本の経済が上向きになっていることが示されています。

しかしながら、数字上の増加分がすべて本当に経済力の増加を意味しているわけではありません。名目GDPの増大には、実は計算方法の変更というからくりがあるのです。

2016年12月から、GDPの統計と計算に「研究開発投資」も含まれるようになりました。

政府によると、計算方法が変わった理由は「国際基準に合わせるため」ということです。

研究開発投資が含まれたことで経済成長とは無関係にGDPが増えることになったのですから、アベノミクスが掲げる「2020年ごろまでにGDPを600兆円にする」という目標に近づけるための策略と見ることもできます。

アベノミクスの目玉!異次元金融緩和とその限界

アベノミクスの目玉でもある第三の矢「民間投資を喚起する成長戦略」は、異次元規模で実施される金融緩和政策によって実施されることになっています。

なお、異次元規模の金融緩和とは、具体的には日銀が金融機関から大量の国債やEFT等を買い取ることで、年2%程度のインフレを引き起こすことを意味しています。

実際に異次元緩和によって、2018年8月末時点には通貨の供給量が2013年3月末の3.6倍に拡大しました。

しかし、市場は円安方向に動き、株価は上昇して経済活動が活発化し…という流れが起こるはずが、長引く超低金利により予想通りには株価が上昇せず、かえって地銀の経営破綻等の地方経済の危機を招いています。

地銀の経営統合が頻繁に実施されているのも、地方経済の危機の1つの表れです。

また、頻発する大規模災害も、地方経済に打撃を与えています。異次元緩和による経済効果には限界があることが、すでに明らかになってきていると言えるでしょう。

アベノミクスの今後の課題

アベノミクス04 複数プリントされたグラフ

名目GDPの数字を操作しても、経済が上向きになるわけではありません。

GDPの数値だけで経済力を図るのではなく、200%を超えると言われる「債務残高に対するGDPの割合」が継続的に減少することを目指す必要があるのです。

また、国民が安心して暮らすための社会保障改革も実施しなくてはなりません。

日本の人口の27.7%は65歳以上(2017年時点)で、今後も高齢者の人口比はますます増加すると予想されています。

社会保障を早急に改革し、日本社会の実情に合った政策を推進していく必要があります。

後期高齢者の医療費負担割合の見直し

2019年時点では、満75歳以上の後期高齢者の医療費自己負担割合は1割です。

しかし、後期高齢者の人口比がさらに増える中、医療費自己負担割合をいつまでも1割に維持することは難しくなってきています。

医療費の財源は、労働者が納める健康保険料にも頼っています。

後期高齢者の医療費負担が増えるということは、労働者が納める健康保険料増大にもつながりますから、数年内に2割程度に増加することも必要となってくるでしょう。

また、企業と個人が折半して支払う社会保険料とは異なり、国民健康保険は個人が全額納めています。

国民健康保険加入者の負担を増やすということは、個人の経済力の低下、ひいては民間企業や地方経済の低下という問題も引き起こします。

地方・個人が活力を持つためにも、後期高齢者の医療費負担増は避けられないでしょう。

アベノミクスの成果はまだこれから?国民は動向をチェックしよう

アベノミクスの3本の矢は放たれたものの、まだ充分な成果が得られたとは言えていません。

GDPの増加も数字の上では600兆円という目標値に近づきつつありますが、債務残高との比を調査すると思わしい変化を得られていないことは明白です。

今後も引き続き安倍首相政権の政策動向に注意するようにしましょう。

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政治経済の基礎知識

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