最低賃金が引き上げ?経済に与える影響を解説

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最低賃金が引き上げ?経済に与える影響を解説
最近、報道でよく見る「働き方改革実行計画」の一環に、最低賃金の引き上げがあります。
賃金が上がることは、働く側には良いことに思えますが、実際には専門家の間でも賛否が分かれる状態です。

この記事では、最低賃金の引き上げが経済に与える影響を明らかにします。

最低賃金とは

最低賃金とは
国によって定められた最低限度の賃金を最低賃金といいます。最低賃金は最低賃金法という制度で保証されており、雇用側は、労働者にその最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
最低賃金法は働く全ての労働者に適用されます。

最低賃金には種類があり、地域によって異なる地域別最低賃金と、特定の産業別で異なる特定最低賃金の2つの種類があります。

また、最低賃金は、最低賃金審議会が実態調査をして、統計資料を十分参考にしながら審議され決まります。最低賃金は、毎年見直されており、最新の最低賃金時間額(時給)は、令和元年10月3日より施行されます。

地域で違う最低賃金の額

地域別最低賃金は、都道府県内の職種全般の全ての労働者と雇用側に適用されます。

最低賃金に地域差がある理由として、地域ごとに労働者の生計費や労働者の賃金が異なり、その地域で活動する事業の賃金支払能力も違ってくるからです。

地域に差があるということは、派遣労働者の最低賃金についても考えなくてはなりません。派遣労働者の派遣先の事業場が、別の都道府県にある場合、派遣先の地域の最低賃金が適用されます。その場合労働者の住んでいる地域の最低賃金を下回ることもあります。

地域によって異なる最低賃金ですが、引き上げ額も地域によって異なります。下記は平成30年の10月に改定された地域別最低賃金の引き上げ額であり、全国的に26~28円加算引き上げられました。

【北海道・東北】

都道府県 改定前 改定後 引き上げ額
北海道 835 861 26
青森 762 790 28
岩手 762 790 28
宮城 798 824 26
秋田 762 790 28
山形 763 790 27
福島 772 798 26

【関東】

都道府県 改定前 改定後 引き上げ額
東京 985 1,013 28
神奈川 983 1,011 28
埼玉 898 926 28
千葉 895 923 26
茨城 822 849 27
群馬 809 835 26
栃木 826 853 27

【北陸】

都道府県 改定前 改定後 引き上げ額
新潟 803 830 27
富山 821 848 27
石川 806 832 26
福井 803 829 26

【東海・中部】

都道府県 改定前 改定後 引き上げ額
山梨 810 837 27
長野 821 848 27
岐阜 825 851 26
静岡 858 886 28
愛知 898 926 28
三重 846 873 27

【近畿】

都道府県 改定前 改定後 引き上げ額
滋賀 839 866 27
京都 882 909 27
大阪 936 964 28
兵庫 871 899 28
奈良 811 837 26
和歌山 803 830 27

【中国・四国】

都道府県 改定前 改定後 引き上げ額
鳥取 762 790 28
島根 764 790 26
岡山 807 833 26
広島 844 871 27
山口 802 829 27
高知 762 790 28
徳島 766 793 27
愛媛 764 790 26
香川 792 818 26

【九州・沖縄】

都道府県 改定前 改定後 引き上げ額
福岡 814 841 27
佐賀 762 790 28
長崎 762 790 28
熊本 762 790 28
大分 762 790 28
宮崎 762 792 28
鹿児島 761 790 29
沖縄 762 790 28

最低賃金引き上げが与える経済への影響

最低賃金引き上げが与える経済への影響
最低賃金引き上げによって、経済にはどのような影響が出るのでしょうか。

働く側からいえば、給料が上がることで働く意欲がわき、仕事に積極的に従事していけます。
一方雇用する側は、人件費が加算し利益に影響しそうです。

現在、日本の経済は右肩上がりで、企業はその黒字額を労働者に分け与えることで、より消費が上がるという見方もあります。

ここでは、最低賃金引き上げによるメリットとデメリットを見ていきます。

最低賃金引き上げによるメリット

最低賃金引き上げによるメリットは下記のものが挙げられます。
・職種による賃金の格差や、正規と非正規による賃金の格差が縮まる。
・パートで働く人が、自宅に近い職場の賃金引き上げで、仕事を継続できる。
・今まで抑えていた消費も増え、経済の活性化に繋がる。
・賃金の高い首都圏に職場を求めて人材が流れてしまうことが防げる。

最低賃金引き上げは地域差をなくす意味もあり、地元で働く意欲を持ってもらい地域の経済を潤す役割があります。

また、「配偶者控除および配偶者特別控除」の適用条件が変更された点も、最低賃金引き上げと相乗効果が期待できます。

配偶者控除の適用範囲が上がったことで、働く時間を抑える必要がなくなりました。最低賃金引き上げにより給料が上がれば、配偶者控除と合わせることで、より生活が楽になります。
このように、最低賃金引き上げは働く側にとってメリットが多いです。

最低賃金引き上げによるデメリット

次に、最低賃金引き上げによるデメリットを挙げていきます。
・人件費の増加により中小企業の経営が苦しくなる。
・非正規労働者の最低賃金が引き上げられることで、正規労働者にしわ寄せがくる場合がある。
・飲食チェーンやコンビニなどは長時間の雇用ができなくなり、失業者が増える。

最低賃金引き上げは、人件費の上昇につながり会社にとっては必ずしも良いことばかりとは限りません。むしろ、雇用側の都合で人手が減った場合、その分の負担が現場の労働者にかかってしまい、雇用側だけでなく労働者にとっても逆効果になる可能性もあります。

このように、最低賃金引き上げを手放しで喜べない現場には、国からの手厚いサポートが必須となります。

最低賃金引き上げに動く日本

最低賃金引き上げに動く日本
最低賃金引き上げは、2017年3月に決定された「働き方改革実行計画」に基づいています。「働き方改革実行計画」では、最低賃金について年率3%程度をめどに引き上げ、全国加重平均1,000円を目指す、と定めました。

現状、少子高齢化が進む日本にとって、生産年齢人口(15~64歳)の減少は重く、経済対策が急がれます。
日本が人口減少の中で、今のGDPを維持するためには、ひとりひとりの生産性を高める必要があります。

政府の進める最低賃金制度は、生産性を高める実効性があると位置づけられています。

最低賃金引き上げに向けた様々な支援

政府は最低賃金を引き上げるに当たり、政府は様々な支援を行っています。
・業務改善助成金
中小企業や小規模事業者の業務改善を支援し、従業員の賃金引上げを図るために設けられた制度です。
生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった経費の一部を助成する制度です。

・時間外労働等改善助成金(団体推進コース)
3社以上で組織する中小企業の事業主団体で、労働時間短縮や賃金引上げに向けた生産性向上にかかった費用を助成します。

・キャリアアップ助成金
有期契約労働者の基本給の賃金規定を2%以上増額改定して、昇給させた場合に助成します。

これらの助成金制度の他にも様々な支援を行っており、国が最低賃金引き上げを強く進めていることがわかります。  

最低賃金引き上げで自分たちの暮らしはどうなるか注目しよう

最低賃金引き上げは、働く側にとって意欲を高める効果があるだけでなく、生活の安定や消費意欲を高めることに繋がります。
雇用側は人件費負担が増すため、負担による弊害が起こらないよう、国が支援することは不可欠です。

最低賃金の引き上げについては、これからの日本の経済を支えていくうえでの大事な方針です。
働く側、雇う側の両方に明るい未来があることが望まれます。

こちらでは雇用や景気を示す指標について詳しく解説しています。興味のある方はぜひどうぞ。
【関連記事:経済指標とは?様々なデータからわかる世界の動き

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