最低賃金法をわかりやすく解説

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最低賃金法と背表紙に書かれた本
最低賃金法は、労働者の賃金を定める法律です。
どのような法律で、会社が遵守しているかを調べる方法、また賃金が不足していた場合の請求方法についてまとめました。

最低賃金法とは

最低賃金と大金の天秤

最低賃金法とは、日本国内の労働者の最低賃金を定める法律です。

「労働者の生活の安定と労働力の向上」が目的として創設されました。

雇用者と従業員の双方が納得して雇用契約を結んだとしても、最低賃金法で定める基準を満たしていないときは、その契約における賃金の取り決めは無効になります。

また、現在だけでなく過去においても最低賃金に満たない賃金を支払っていた雇用者は、速やかにその時点での最低賃金との差額を清算し、労働者に支払わなくてはいけません。

最低賃金法の成り立ち

もともと、昭和22年に施行された労働基準法の第24条第1項で、雇用者側の賃金支払いの義務について定めていました。

しかし、最低限の賃金を保証することで労働状況の改善を目指すため、最低賃金に関する規則を独立させる形で昭和34年に最低賃金法が誕生しました。

最低賃金法では、毎年定められている地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金における規則、また、派遣労働者においての最低賃金の考え方、例外などについて定めています。
<参考:厚生労働省「最低賃金制度とは」

最低賃金の決まり方

最低賃金の額は、各都道府県によってさまざまです。

最低賃金はまず、公益代表と労働者代表と使用者代表で構成される中央最低賃金審議会という会議によって審議され、最低賃金が決まります。

この会議で決定された金額は、都道府県にある「地方最低賃金審議委員会」で再度審議を行い、最終的に各都道府県の労務局長の判断によって、県ごとの最低賃金が決まります。

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最低賃金の種類

日本列島の模型

最低賃金には2種類あります。
都道府県ごとの基準を示す「地域別最低賃金」と、特定の産業の基準となる「特定最低賃金」です。

最低賃金法で定める地域別最低賃金が適用されるのは、正社員などの正規雇用者だけではありません。

パートやアルバイト、派遣労働者、臨時社員、委託社員など、あらゆる雇用形態の労働者に適用されます。

地域別最低賃金

地域別最低賃金は、すべての労働者の賃金の最低限を保証する都道府県別の賃金のことです。

職業の種類を問わず、全ての労働者が最低賃金の権利があり、基本的には毎年改正され、物価などを反映して年々増加傾向にあります。

最低賃金は次の項目を配慮し定められています。

  • 労働者が健康で文化的な最低限の生活を営める
  • 生活保護の水準より下回らない水準

特定最低賃金

特定最低賃金は特定の産業従事者に適用される基準で、「特定(産業別)最低賃金」とも呼ばれ、最低賃金審議会の調査審議が行われた後に決定されます。

特定最低賃金は、地域別最低賃金よりも高い賃金にするべきだ、と判断した特定の産業に設定され、特定最低賃金が適用される労働者に関しては、地域別最低賃金の基準も満たした賃金が支払われなくてはなりません。

ほとんどの特定産業において地域別最低賃金よりも高額な最低賃金が適用されていますが、地域別最低賃金が特別最低賃金より高額な場合、地域別最低賃金の金額が最低賃金となります。

特定最低賃金の産業は都道府県によって違う

特定最低賃金が適用される特定の産業は都道府県によって違います。

北海道では鉄鋼業、福島県では自動車小売業、福岡県では輸送用機械器具製造業など、各都道府県によってさまざまです。

詳しくは、厚生労働省の特定最低賃金の全国一覧で、お住いの地域の特定産業を確認してください。

しかし、かならずしも全ての該当する労働者に、特定(産業別)最低賃金が適用されるわけではありません。

以下のいずれかに該当する方は、地域別最低賃金は適用されても特定(産業別)最低賃金が適用されないケースがあります。

特定(産業別)最低賃金が適用されない可能性があるケース
  • 18歳未満の方や65歳以上の方
  • 技能習得期間中の方
  • とくに軽微だと判断される仕事に従事している方

<参考:厚生労働省「ポイント!最低賃金 適用される対象者は?」

全国の最低賃金を比較

東京の街並み

最低賃金は都道府県によって異なります。
令和元年10月末時点では、地域別最低賃金が1,000円を超えているのは東京都(1,013円)と神奈川県(1,011円)の2都県だけです。

また、もっとも低い地域別最低賃金は790円で、青森県や沖縄県などの15県で規定されています。

都道府県地域別最低賃金
北海道861円
青森県790円
岩手県790円
宮城県824円
秋田県790円
山形県790円
福島県798円
茨城県849円
栃木県853円
群馬県835円
埼玉県926円
千葉県923円
東京都1,013円
神奈川県1,011円
富山県848円
石川県832円
福井県829円
新潟県830円
山梨県837円
長野県848円
岐阜県851円
静岡県885円
愛知県926円
三重県873円
滋賀県866円
京都府909円
大阪府964円
兵庫県899円
奈良県837円
和歌山県830円
鳥取県790円
島根県790円
岡山県833円
広島県871円
山口県829円
徳島県793円
香川県818円
愛媛県790円
高知県790円
福岡県841円
佐賀県790円
長崎県790円
熊本県790円
大分県790円
宮崎県790円

※2020年4月現在
※発効年月日 2019年10年1日~6日
<参考:厚生労働省「必ずチェック最低賃金 地域別最低賃金全国一覧」

都市によってなぜ最低賃金が違うのか

都市によって最低賃金が違うのは、同じ間取りであっても首都圏は他の地域に比べ家賃が割高なためです。
住宅費は地域差で差が大きく、最低賃金を全国一律に定めてしまうと都市部の人々の生活が厳しくなる恐れがあります。

地方の人々にとっても、最低賃金が全国一律になることは問題を含んでいます。
住宅費が安いにもかかわらず同程度の賃金が得られることになるならば、地方に移住する人々が増え、住宅費が上昇して生活が厳しくなるケースも出てくるでしょう。

どの地域に住んでも、ある程度の住みやすさを維持するためには、地域によって最低賃金が異なるほうが自然なことと言えるのです。

集積の経済化も最低賃金の要因のひとつ

また、東京では一極集中化が進んでいるため、集積の経済化がおき、首都圏の最低賃金の引き上げにつながっています。

集積の経済とは、異業種の企業が集中して立地することで、企業や人が多く集まり競争が生まれ、更なる経済の流れが活発し、人やモノの輸送効率と生産性があがることを言います。

最低賃金をもらっているかの確認方法

電卓と給料明細

最低賃金を受け取っているかどうかは、給与明細を見れば分かります。

給与が時給で計算されている場合は、時給が地域別最低賃金を超えているかどうかチェックしてみましょう。

日給や月給で支払われている場合は、実際に働いた時間で割って1時間当たりの時給を算出し、地域別最低賃金を超えているかどうか確認してください。

地域別最低賃金と同額、あるいはそれ以上のときは、最低賃金が支払われています。

なお、地域別最低賃金は、勤務先の事業所がある地域で確認します。
企業の本社が東京にあっても、実際に働いている事業所が埼玉県にあるなら、埼玉県の地域別最低賃金が適用されます。

賃金の計算方法

最低賃金の計算方法を、下の労働条件で働くAさんで計算を行います。
計算式は、「給料(月額)✕12か月/総所定労働時間」です。

Aさんの場合
  • 北海道で鉄鋼業に従事
  • 年間総所定労働日数 275日
  • 一日労働時間 8時間
  • 月給 19.5万円(基本給 18万、通勤手当 1万、家族手当 0.5万)

【給料(月額)】
基本給以外の各種手当(通勤手当や家族手当などは除く)は計算に含みません。そのため、給料(月額)は基本給の18万円になります。

【総所定労働時間】
275日✕8時間=2,200時間

【最低賃金の計算】
18万✕12ヶ月/2,200時間=981円

北海道の地域別最低賃金は861円。
また北海道で鉄鋼業は特定産業となり、特定最低賃金は967円です。

Aさんの最低賃金は、どちらも上回るため正当な賃金が支給されているということがわかります。

最低賃金をもらっていない場合の請求方法

最低賃金をもらっていない場合の請求方法

最低賃金を受け取っていないことが判明したときは、職場の上司に相談してみましょう。

最低賃金は「労働者が申告したときから」ではなく「労働を開始したときから」で適用されますので、過去に振り返ってその時点における最低賃金が適用されます。

最低賃金が改正されたときは、施行された時点から新しい最低賃金以上の賃金が支払われなくてはいけません。

過去の賃金が最低賃金に満たないときは、それぞれの時点での不足分を合計して請求できます。

最低賃金の差額を会社側に請求する時には、以下の流れが一般的な流れになります。

    • 最低賃金の差額を計算する
    • 証拠をそろえる
    • 会社側に内容証明郵便を使って請求書を送付する

会社が対応してくれないときは専門家に相談

上司が適切に対応してくれないときは、弁護士や労働基準監督署など専門家に相談してください。

他にも解雇や残業代について相談するなら労働基準監督署、裁判に発展するようであれば弁護士がおすすめです。

労働基準監督署に相談すると、勤務先に立入検査等をおこない、違反があるときは指導などの対応をとってくれます。なお、労働基準監督署へは匿名でも相談できます。

【関連記事:労働基準監督署とは?できることと相談する前に知っておきたい知識

最低賃金に満たしていない場合や不足分の賃金支払い対応をしてくれないなら、勤め先がブラック企業ではないのか、という疑いがでてきます。

ブラック企業に勤めつづけると、肉体と精神に大きなダメージをうけることになるため、早く勤め先を判断することをおすすめします。

自分の勤めている会社がブラックなのかホワイトなのか判断が付きにくい場合は、以下の関連記事をご覧ください。

【関連記事:ブラック企業とは?10の特徴と求人の見分け方
【関連記事:ブラックバイトから自分を守れ!主な5つの特徴と3つの対処法

最低賃金法を守らないとどうなる

厚生労働省の庁舎ビル

雇用者が最低賃金法を守っていない場合は、雇用契約で定めた賃金に加え、最低賃金との差額を支払わなくてはなりません。

また、地域別最低賃金に満たない賃金を支払っていることが判明した場合には、50万円以下の罰金を支払うことになります。

特定(産業別)最低賃金に満たない賃金を支払っている場合には、30万円以下の罰金を支払うことになります。

最低賃金法第40条に「第4条第一行の規定に違反したもの(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、五十万円以下の罰金に処する。」
<参考:厚生労働省_最低賃金法

自分の賃金を確認してみよう

ご自身の賃金が最低賃金を満たしているかどうか、給与明細書を使って確認してみましょう。

なお、給与で支払われている場合は、通勤手当や時間外手当、残業手当を除いた金額を就労時間で割り、時給に換算して調べます。

万が一、最低賃金を満たしていないときは、上司や労働基準監督署に速やかに申告してください。

最低賃金法の概要を理解し、自身がしっかりと受け取っているかを確認しましょう。

最低賃金の引き上げについての記事もありますので、あわせてご覧ください。

【関連記事:最低賃金が引き上げ?経済に与える影響を解説

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