正常性バイアスとは?非常時に「自分は大丈夫」と思い込む心理と対策

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マスクをして咳きこんでいる女性

大変なことが起こっても、「私だけは大丈夫」と思うことはありませんか?

たとえば、新型コロナウイルスが流行する中「自分だけは病気にならない」と自然に思い込んでいる人は少なくありません。

この心理を「正常性バイアス」と呼びますが、良い点もある半面、危険な部分もあるのです。

正常性バイアスについて詳しく解説します。

正常性バイアスとは

「正常性バイアスとは」と書かれたホワイトボードと女性

正常性バイアス(Normalcy bias)とは、予想もしないようなことが起こったときに、「ありえない」「嘘だろう」と過小評価することで、心の平安を保つメカニズムを意味する心理学用語です。

また、トラブルを見聞きしても「私とは関係がないはずだ」と思い込むことも、正常性バイアスの1つです。

生きていると、さまざまな想定外のことが起こります。

予想外のことが起こるたびに「どうしたら良いんだろう?」と慌ててしまうのでは、精神的にも疲弊してしまいます。

正常性バイアスは、穏やかな気持ちを保ちやすくするために、脳が自動的に作用する働きと言えます。

正常性バイアスの危険性

精神を穏やかに保つためには、正常性バイアスは有意義な機能です。

正常性バイアスが存在することで、多少の変化や問題に囚われず穏やかに過ごすことができ、予期せぬことが起こっても一喜一憂する必要がなくなります。

しかし、いつでも正常性バイアスがかかっていると、本当の危機に対して適切な対応ができなくなってしまいます。

たとえば、火事で家が燃えているのに「アルバムだけは何とかして外に持ち出したい!これ以上、火が強くなることはないだろうから、ちょっと行って見て来よう」と考えるならどうでしょうか。

危険に身をさらされるだけでなく、命を失うことにもなるのです。

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正常性バイアスでの被害を具体例から紹介

防災行政無線

「正常性バイアスで危険に巻き込まれる人がいる」という話を聞いても、「まさかそんなことがあるはずはない。『デマ』と『本当の危機』の違いぐらいは判断できるはずだ」と考える方は少なくありません。

しかし、そのような思い込みがまさしく正常性バイアスであり、注意すべき状態なのです。

正常性バイアスによる偏見で、被害を受けた方は大勢います。

2011年の東日本大震災と、2014年の御嶽山の噴火で、実際に起こった例を紹介します。

正常性バイアスの具体例1.【2011年】東日本大震災の津波

東日本大震災で津波が起こった、福島県や宮城県、岩手県などの6県62市町村の人々を対象に、国土交通省がおこなった調査があります。

調査では、地震発生から津波が来るまでに避難を開始した人は全体の約63%であったと報告されています。

逆に言えば、地震が来たにもかかわらず、避難しなかった人が3割強もいたのです。

東日本大震災の犠牲者のうち9割以上が、津波によって命を落としたり行方不明になったりしました。

正常性バイアスによって「地震が来ても津波に飲み込まれることはない」「私は大丈夫」という考えが起こっていなければ、救われた命もたくさんあったと言えるでしょう。

また、東日本大震災では、福島第一原子力発電所でも被害が起こっています。

たとえば、東京電力は3人の作業員が被ばくしたことを公表しましたが、作業をおこなったのが3月24日であり、地震から時間が経過していることからも、避けようと思えば避けられた事故と考えることができます。

正常性バイアスが間違った方向に作用して、安易に「大丈夫」という過信が生まれた可能性は否定しにくいでしょう。

<参考:消防防災科学センター「大災害時の避難行動」
<参考:時事通信社「〔特集〕東日本大震災・関連情報」

正常性バイアスの具体例2.【2014年】御嶽山の噴火

日本地図上での御嶽山

<引用:Yahoo!地図>

2014年9月27日、長野県と岐阜県の県境に位置する御嶽山(おんたけさん)が噴火しました。

噴火警戒レベルは「1」であり、火口周辺への立ち入りが禁止されていない状態で噴火が起こり、死亡者58名、行方不明者5名の被害が出ました。

被害者の多くは、噴火による揺れや煙を認知しながらも、すぐに逃げずにいたとされています。

遺されたカメラや携帯電話から、亡くなる直前まで噴火の様子や飛び散る石を撮影していた人もいることがわかっています。

正常性バイアスが誤った方向に作用してしまい「自分だけは大丈夫だろう」「警戒レベルが1だから、まさか死ぬことはないだろう」と判断し、被害を受けてしまったと考えられるでしょう。

<参考:産経ニュース【生還女性が初めて語る「あの時」「焼け死ぬのか、溶けるのかな…」】

正常性バイアスで「大丈夫」と思い込んでいる人に巻き込まれない注意

「正常性バイアスと同調性バイアス」と書かれた黒板とたくさんの人形

正常性バイアスは、特別な思考回路ではありません。

そのため、地震や火山の噴火などが起こったときに、多くの人に正常性バイアスが作用すると、「みんなが大丈夫そうにしているのだから、きっと大丈夫だろう」という安心感が生まれ、さらに避難が遅れることになってしまいます。

このように「大勢の人が、そうするから」という理由で、正常な判断ができなくなることを「同調性バイアス」といいます。

たとえば、避難警報が鳴っているのに「ここまで津波は来ないよ」と考える人が大勢周りにいるならどうでしょうか。

避難警報を無視してその場にとどまり、結果として全員が津波に飲み込まれてしまうこともあるのです。

正常性バイアスと同調性バイアスに巻き込まれてしまうと、正しい判断ができず、命を落とすことにもなりかねません。

小さな子どもなど、自分で判断することが難しい家族がいる場合なら、あなた一人だけでなくかけがえのない家族の命を失うことにもなるでしょう。

「自分だけは大丈夫」という考えを持たないこと、そして、「大勢の人が、そうしているのだから大丈夫」と思考停止してしまわないことが大切だと言えるのです。

正常性バイアスへの対策!日頃からの意識づけや訓練を繰り返そう

大勢の人が歩く都会の交差点

正常性バイアスは、うまく作用すれば心の平安を保つ効果があります。

しかし、危機的状況において正常性バイアスが作用してしまうと、危険を過小評価して逃げ遅れてしまうだけでなく、場合によっては命を失うことにもなりかねません。

また、正常性バイアスが作用した人が多数集まって生じる「同調性バイアス」にも注意が必要です。

人間は、多少なりとも「こうあって欲しい」と希望的に考える方向に、物事を歪めて理解する生き物です。

「安全だと信じたい」という気持ちが強いときに、周囲の人々が「ここにいれば安全」「被害なんて起こらないから」と言うならば、確固とした根拠がなくても信じてしまうことがあるのです。

普段から、正しい情報を元に正しい判断をおこなうことを意識し、多勢に流されないようにしていきましょう。

正常性バイアスは自然と人間にあるもの!だから理解と対策が重要

正常性バイアスは、人間に元々備わっているものです。

しかし、元々備わっているからといって、常に正しい判断につながるわけではありません。

正常性バイアスについての理解を深め、いざというときに自分自身の考えや直感、周囲の同調圧力に疑問を持てるように訓練していきましょう。

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