給特法とは?公立学校の教員向け法律の実体と改正内容について

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小学校の職員室前

生徒の指導や部活のサポート、学校外で起こったトラブルへの対応など、学校の教員の仕事は多岐にわたります。

しかしながら、給特法により、公立学校の教員には残業手当が出ません。

給特法とはどのような法律なのか、また、どのような問題点が懸念されているのかについて解説します。

給特法とは「公立学校の教員の給与等に関する法律」

小学校の教室

給特法とは「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称で、公立学校の教員の給与などにおけるルールを定めている法律です。

1971年に制定され、2019年12月4日に改正法が成立しました。改正法が全面的に施行されるのは、2021年4月1日を予定しています。

公立学校の教員は、生徒指導や学校内外の対応など業務が幅広く、拘束時間が読めない特殊な職務にあります。

そのため、一般的な地方公務員とは異なり、独自の給特法で給与や労働時間が規定されています。

給特法には問題点が指摘されていた

給特法はかねてより問題点が指摘されており、1971年に制定されて以来、昭和・平成の間に何度も大きく改正されています。

とりわけ問題とされていたのが、残業代が出ないことです。

教員の仕事は労働時間を計算しづらい部分があり、たとえば学校外にいるときや土日祝日、夜間などの労働時間外であっても、生徒にトラブルなどが起こったときは対応せざるを得なくなることがあります。

そのため、残業時間をカウントするのではなく、時間外労働がいくらかあったということを想定して、基本給の4%に相当する「教職調整額」として支給することで対応していました。

ただ、仮に1ヶ月の労働時間を160時間とすると、「基本給の4%」とは「約6時間の労働」に見合う金額と言えます。

教員の時間外労働が「1ヶ月に6時間程度」という状況はほぼありえませんから、ほとんどの教員は教職調整額を受け取ることで、多くの時間を無給で働いていることになるのです。

給特法では、残業がないという前提の下、残業代が出ないと定められています。

しかしながら現状では、残業代が出ない状態で残業はおこなわれています。

まさに公立学校はブラック企業並みの劣悪な労働環境と言えるのです。
 

「ブラック企業」については、こちらの記事をご覧ください。

ブラック企業とは?10の特徴と求人の見分け方

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給特法は19年12月、抜本的な改正がされた

国会議事堂の外見

給特法は何度か改正がおこなわれていますが、2019年12月の改正は今までよりも抜本的な改正となっています。

政府が推進している働き方改革を、公務員である教員が率先しておこなうべく、残業時間や勤務時間を具体的に定めました。

法施行後、約半世紀ぶりとなる今回の大改正は、主に次の2つのポイントで理解することができます。

2019年12月の給特法改正のポイント

  1. 残業時間を含めた勤務時間の上限を定める
  2. 変形労働時間制の導入

給特法改正ポイント1.勤務時間の上限等を定める

改正前までの給特法では、残業時間を含めた勤務時間は決まっていませんでした。

給特法は「残業がない」という状態を前提とした法律ですから、万が一、時間外労働をおこなっても、残業ではなく単なる自主的な労働として処理していたのです。

時間外労働が何時間おこなわれたのかをカウントすることすらせず、教職調整額を支給することでざっくりと時間外労働に対する報酬を支払っていました。

しかし、2019年12月の改正法では、残業時間を含めた勤務時間の上限を定めています。

原則として時間外労働は1ヶ月に45時間以下、1年に360時間以下になるように調整しなくてはなりません。

災害やいじめなどの特殊な事情があるときは、1ヶ月の時間外労働は100時間以下、1年に720時間以下までと上限時間が拡大されます。

ただし、時間外労働が1ヶ月に45時間を超える月は1年に6ヶ月以下、時間外労働が超過する月が連続するときは、1ヶ月あたりの時間外労働は80時間以下に調整しなくてはなりません。

給特法改正ポイント2.年間の変形労働時間制を導入

ほとんどの公立学校は、8月は授業がなく、教員の負担も減る傾向にあります。

改正給特法では、月によって忙しさが異なる学校ならではの特性を活かし、「変形労働時間制」の導入を定めました。

たとえば、4月や10月などの学期初めや行事が重なる時期の勤務時間を1週間に3時間ほど増やし、その分、8月にまとめて休みを取得することが可能になります。

給特法は改正後も懸念されている

思い悩んでいる女性教員

改正給特法では、時間外労働に関して細かな決まりを定めています。

実際に施行されれば、教員の働き方改革が進み、オーバーワークが改善されるはずです。

しかしながら、改正給特法にはいくつか懸念点も残されています。

とりわけ次の3点は、教員たちの不安を増長させています。

改正給特法の懸念点

  1. 時短ハラスメントの横行
  2. カウントできない残業の増加
  3. 教員の業務量を減らす具体策がないこと

給特法の懸念点1.時短ハラスメントの横行

改正給特法施行後は、文部科学省や教育委員会などから改正法を遵守しているかどうかのチェックが厳しくなると予想されます。

教頭や主任が「定時で帰るように」と教員を指導することになるでしょう。

その日にするべき業務が終わっていないときでも、「とにかく定時で帰れ」と時短ハラスメント(ジタハラ)を受ける可能性があります。

「時短ハラスメント(ジタハラ)」については、こちらの記事をご覧ください。

時短ハラスメントとは?ジタハラの意味・事例・対策と働き方改革

給特法の懸念点2.「見えない」残業の増加

業務が終わっていないときは、いくら主任などから「早く帰れ」と言われても仕事を止めるわけにはいきません。

とはいえ、残業として報告することもできないため、昼休みや早朝、帰宅後などの「勤務時間としてカウントされない時間帯」に仕事をすることになると予想されます。

見かけ上の勤務時間は減っているのに、実働時間は増えてしまうということにもなりかねません。

給特法の懸念点3.そもそも教員の業務量が減らなければ改善されない

勤務時間の上限を定めても、教員の業務量が減らなければ時間内で仕事を終わらせることはできません。

改正給特法では勤務時間の上限は定めていますが、具体的に勤務時間を短縮するための方策が提案されているわけではありませんから、そもそも実現可能なのかという懸念があります。

実際のところ、教員の仕事は年々複雑化・多様化しており、教員一人にかかる負担も増加傾向にあります。

給特法で教員が適切に守られないと、教育現場の改善につながらない

改正給特法により、教員の勤務時間の上限や変形労働時間制が定められることになりました。

しかし、業務そのものを減らすための取り組みがおこなわれないなら、絵に描いた餅になってしまいます。

改正法施行後、本当の意味で教員の労働環境が改善されるのか、今後もニュースに注目していきましょう。
 
 

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