集団安全保障と集団的自衛権とは?意味や違いをまとめて解説

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集団的安全保障01_国連の外見

国際連合加盟国は「集団安全保障」が適用され、違反国には加盟国による集団的制裁を受ける可能性があります。また、自国への攻撃がなくても友好国が武力行使を受けた場合、集団的自衛権が認められています。
そこで本記事では集団安全保障と集団的自衛権の意味や違いについて詳しく解説しています。

集団安全保障とは?

集団的安全保障02_平和協定

集団安全保障とは、「国同士がお互いに戦争をしないという約束を立て、もし約束を反故した国が出たら、残りの国々で協力して、反故した国に制裁を加える」という取り決めのことです。この取り決めは、第一次世界大戦後に国際連盟の成立によって実現された制度です。
国家によって国力は異なり、強大な軍事力を持った国家もあれば、軍を持たない国家もあります。しかし、集団安全保障の取り決めによって、多くの国家が協力することで、武力行使による侵略を未然に防げます。

集団安全保障の対義語とされているのが「勢力均衡」です。
勢力均衡とは、強大な軍事力を持つ国家に隣接する国々が協力(軍事同盟)をすることで、強国からの侵略を防ぐことをいいます。強国に対し、弱国同士で同盟を結ぶことで、戦争が起こりにくくなるように仕向けます。これが勢力均衡による安全保障です。
勢力均衡による安全保障は国家間の関係や相互利益のバランスが重要なため、同盟を結ぶのが難しいです。
集団安全保障は、広範囲で公平にバランスを保つことができるため、画期的な仕組みといえます。

集団安全保障の具体例

1990年8月2日、イラク(当時はフセイン大統領)は隣国のクウェートを併合するために侵略戦争を仕掛けました。これが湾岸戦争の始まりです。
当時はイラクもクウェートも国際連合に加盟しており、国際連合における集団安全保障の対象となる国でした。

国際連合は、集団安全保障の取り決めに基づき、イラクに対して撤退を求めると同時に、武力行使容認決議を可決しました。
武力行使容認決議の可決により、アメリカ、イギリス、フランスなどを含む34ヶ国は多国籍軍を編制して、イラク軍の鎮圧措置に当たりました。
イラク軍はクウェートをすでに占領していましたが、多国籍軍による圧倒的な戦力に為す術がありませんでした。多国籍軍は勝利し、クウェートが解放されました。
湾岸戦争で編成された多国籍軍が、国際連合による集団安全保障が機能した例といえます。

国連による集団安全保障の問題点

集団的安全保障03_国連旗と各国旗

国際連合の主なルールである「国際連合憲章」には、加盟国は他国に武力行使を行うことを慎むように定められています。
国際連合憲章によって武力行使が認められるケースが、湾岸戦争のときのような集団安全保障です。

しかし、国際連合による集団安全保障の成立要件、つまり実際に集団安全保障が適用されるにはいくつか条件があります。特に「安全保障問題の対処は、全メンバーの集団的な安全という共通利益になる」という条件が厳しいとされています。
例えば、湾岸戦争では国際連合加盟国が多国籍軍を編制してイラクを攻撃しましたが、加盟国の中にはイラクと友好的な国や有益な貿易関係にある国も存在し、イラクが弱体化してしまうと自国にも不利益が生じる国があったはずです。

日本とアメリカの友好関係のように、国際連合加盟国にもそれぞれの国同士の関係性があり、集団安全保障による武力行使が、すべての加盟国に平等の利益となることはあり得ません。
現実問題として国際連合憲章には「すべての国に共通利益となることが、集団安全保障の適用条件」と定められています。自国の不利益を理由に、武力行使容認決議を否決に持っていく国があっても不思議ではないのです。
そのため、国際連合による集団安全保障は成立要件が現実的に厳しく、実際に適用されるのは難しいとされています。

集団的自衛権の「集団防衛」が現実的

国際連合憲章により、国際連合加盟国は「個別的自衛権」が認められています。
個別的自衛権とは、自国が他国から武力攻撃を受けた際に、自国を防衛することを目的とした武力行使の権利です。日本は憲法で戦争を放棄していますが、自衛隊という武力を保有しており、他国から攻撃を受けた場合は個別的自衛権に基づき、反撃という形で武力行使の権利が認められています。

友好国同士で集団安全保障を行うことを「集団的自衛権」と呼びます。
集団的自衛権とは、友好国が攻撃を受けた際、攻撃してきた国に対して武力行使を認める権利です。集団的自衛権ならば、国同士の都合に合わせて軍事同盟が可能となるため、現実的な安全保障といえます。
集団的自衛権のように個々の国々で軍事同盟を行うことを「集団防衛」と呼びます。 日本とアメリカの日米同盟(2015年以降)やNATO(北大西洋条約機構)は、集団的自衛権の適用を盛り込んだ代表例です。

集団的自衛権とは?

集団的安全保障04_日本とアメリカの国旗

集団的自衛権が適用されれば、自国が攻撃を受けていない場合でも武力行使が認められています。つまり、個別的自衛権に該当しなくても、他国への武力行使が認められているということです。

日本の集団的自衛権と個別的自衛権

日本は憲法9条で、戦争を放棄していますが、個別的自衛権による武力行使は仕方がないとされています。しかし、集団的自衛権により、攻撃を受けた友好国のための武力行使は、「戦争行為に当たる」という解釈から「憲法9条違反だ」とする世論が起こり、議論となりました。
結果的には、日本でも2015年の国会で集団的自衛権が可決され、日本の自衛隊は、同盟国が攻撃を受けた際に同盟軍と協力して武力行使を遂行することが認められました。

なお2019年現在、日本の同盟国はアメリカのみです(日米同盟)

集団安全保障と集団的自衛権を理解しよう

 
世界の国々はそれぞれの国力が異なり、軍事力が強大な国もあれば、軍事力が乏しく、国防に不安がある国も少なくありません。軍事力が乏しくても、国際連合に加盟すれば国際連合の集団安全保障によって抑止力を得られます。
ただし、実際の国防は、友好国との軍事同盟による集団防衛が現実的といえるでしょう。

集団安全保障や集団的自衛権と密接な関係にある安全保障関連法に関する記事もあります。興味のある方はぜひご覧ください。
【関連記事:安保法案は今|自衛隊の活動はどうなる?

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