安保法案は今|自衛隊の活動はどうなる?

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安保法案は今|自衛隊の活動はどうなる?
2015年9月19日、衆院本会議で安保法案が可決され「安保法(安全保障関連法)」として成立しました。
安保法とは何なのか、自衛隊の活動は安保法によってどう変わるのか、また、安保法のどの部分が問題視されているのかについてまとめました。

安保法は2本立て

安保法は2本立て

安保法とは、自衛隊法やPKO協力法、特定公共施設利用法などのすでに成立している10の法律や改正法をまとめた「平和安全法制整備法」と新たに起草された「国際平和支援法」の2つからなる法律です。

大きく分けると、平和安全法制整備法は日本の平和と安全を守るための法律、国際平和支援法は世界の平和と安全を守るための法律と言えます。なお、安保法の正式名称は「安全保障関連法」です。

安保法が成立した経緯

日本は平和を希求する国家だと言っても、直接外国から武力で攻撃される可能性はあります。
また、日本国民の生命が危険にさらされる可能性、日本と協力関係にある国が第三国から攻撃される可能性もあります。
しかし、日本国憲法の第9条では、「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定められているため、今までは自衛隊などの武力を使った方法で解決できませんでした。

時代の流れにより、「日本が直接的に外国から攻撃された場合は例外的に武力行使できる」という風に憲法の解釈が変わってきました。
しかし、紛争中にある国々で地域住民の生命を守るときや日本以外の国が第三国から攻撃を受けたときに関しては、憲法の解釈を変えても日本が武力を行使する理由としては認められなかったのです。

安保法案の1つの契機となった湾岸戦争

1991年の湾岸戦争をめぐる一連のニュースをきっかけに、軍事力による国際貢献の重要性を意識するようになった人は少なくありません。
当時、日本は約130億ドル(当時の為替では1兆6900億円ほど)もの支援金をアメリカに提供し、諸外国の中でも群を抜いて多額の経済的支援を実施しました。
しかし、「軍事力を提供しない」という1点において日本の国際協力度は低いと判断され、総体的な評価、とりわけアメリカによる評価は得られなかったのです。

もちろん、日本国内にお金が有り余っていたわけではありませんから、1兆6900億円ものお金は日本国民の税金です。
日本国民が働いて納めた税金を有効に活用するためにも、単に支援金としてお金を出すのではなく、軍事力と共に支援金を出すことの重要性が論じられるようになったのです。

軍事力と集団的自衛権

憲法第9条の解釈を「日本の自衛権を守るために軍事力を行使することは合憲」というところまで拡大しても、「国際協力のために軍事力を行使することは合憲」というところにまで拡大することは当時の法律では不可能でした。

そこで、憲法を改正せずに軍事力の使用範囲を広げるために用いられたのが「集団的自衛権」という考え方です。
現代の世の中において、外国との関わりを一切断つことは現実的ではありません。
つまり、日本が自衛権を行使するためには、日本と政治的に協力関係にある外国も含めた集団的自衛権を行使しなくてはならないということになります。
集団的自衛権を行使するための軍事力なら合憲だという考えの下、安保法案が提出され、2015年に安保法が誕生したのです。

集団的自衛権についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事がお役に立ちます。
集団安全保障と集団的自衛権とは?意味や違いをまとめて解説

安保法成立で変わる自衛隊の活動

安保法成立で変わる自衛隊の活動

安保法が成立したことで、「自衛隊」の活動範囲が変わりました。
自衛隊は、今までは外国から直接的な攻撃を受けたときだけに活動する組織でしたが、国際協力も含めた集団的自衛権の行使のための活動や紛争中にある国の中で地域の人々を守るための活動が認められるようになったのです。
安保法成立により認められるようになった活動のいくつかを紹介します。

安保法成立によって新たに可能になった活動根拠となる安保法内の法律
他国の軍隊の後方支援国際平和支援法
PKO以外の復興支援活動改正PKO協力法
(平和安全法制整備法の一部)
外国にいる日本国民の救出活動改正自衛隊法
(平和安全法制整備法の一部)
日本の領海以外における船舶検査改正船舶検査法
(平和安全法制整備法の一部)
主に米軍への役務提供米軍等行動円滑化法
(平和安全法制整備法の一部)

安保法の問題点

安保法の問題点

安保法によって、自衛隊が純粋に「自衛」のためだけでなく「集団的自衛」のために利用できるようになりました。
しかし、集団的自衛とは「協力している国が戦争しているときには日本も戦争に参加する」という意味に他なりません。
つまり、安保法案が可決されて安保法が誕生したことで、自発的に戦争を起こせないという点を除けば、自衛隊は諸外国の軍隊と何ら変わらない存在になったのです。

その他にも安保法はいくつかの問題点を生みました。とりわけ大きな問題とされている3点は次の通りです。

安保法そのものが違憲の可能性がある

法律はすべて憲法に則ったものでなくてはなりません。
しかし、安保法の成立によって、自衛隊が戦闘に間接的に関わることになります。
国際協力の状況によっては、戦闘に直接的に関わる事態が発生することもあるでしょう。
すると、憲法第9条の「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」には反してしまうため、安保法自体が違憲だということになってしまいます。

なお、自衛隊の存在自体も、憲法の解釈によっては違憲となります。自衛のためにどこまで軍事力を持つのか、また、その軍事力をどこまで外国軍(主に米軍)に提供するのかという問題も生じるでしょう。

国際紛争を深刻化させる恐れがある

安保法では武器を諸外国に提供することは認められていませんが、諸外国に輸送することは認められています。
武器の輸送に関わることで紛争を長期化・深刻化させてしまう恐れがありますので、間接的であれ、自衛隊が国際平和を破綻させる活動に加わることになります。
日本は平和を標榜した国家ですが、安保法が成立したことで国際平和を乱す存在になることがあるのです。

日本国自体が戦争に参加することになる

また、武器を輸送する地域がかならずしも安全な地域とは限りません。
つまり、安保法案の可決により、自衛隊員を紛争地帯に送り込むことにもつながってしまいます。
自衛隊員は国家公務員ですので、自衛隊員が戦争に行くということは、日本が国家として戦争に参加していることにもなります。戦争を放棄したはずの日本が、国家として戦争に参加することは大きな矛盾と言えるでしょう。

安保法を理解して今後の問題について考えよう

安保法は国会では可決されましたが、反対デモも頻繁に行われ、国民の総意とは言い難い法律です。
また、安保法上は合法でも憲法上は違憲の行為も多く、安保法がどこまで適用されるのかもまだ分からない状態です。

今後も安保法や自衛隊の情報に注目していきましょう。

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